2017年、120年ぶりに民法の改正が決定し、2020年から、今まで曖昧だった敷金と原状回復のルールが明確化されることになりました。
賃貸契約における敷金に関しては、これまでは明文化されておらず、不動産取引の慣習や地域のローカルルールに基づいてやりとりされてきました。
今回は2020年に施行される新しい民法によって賃貸物件の敷金や原状回復義務がどう変わるのかを解説します。
少し先の話ですが、敷金や原状回復は賃貸契約をする上で必ず理解するべき点なので、今のうちにマスターしておきましょう!
賃貸の敷金と原状回復ルール:民法改正後の敷金の扱いは?
今回の民法改正では、初めて「敷金」の定義とルールが定められました。
定義された「敷金」とは、要約すると「借主が貸主に対して、賃貸契約に基づき支払う必要がある金銭の担保として、預けるお金」のことです。
そして、借主が部屋を退去した時、貸主は原状回復費を差し引くものの、敷金を返還しなければならないことが明確に記載されています。
以前までは、家賃の1~2ヶ月分を敷金として納めて、退去の際には貸主の裁量で全額または一部が返金されるとの認識が広まっていました。
しかしながら、定義やルールが法律で定められていなかったので、原状回復とも絡めて返金トラブルに発展するなど、国民生活センターにも相談が相次いでいました。
民法改正では、こうした慣習を踏襲しつつ明文化したことで、運用に大きな変更がないまま、借主に一方的に不利な契約や返金トラブルに巻き込まれることを防げるのではないかと期待されています。
賃貸の敷金と原状回復ルール:借主の原状回復費用負担は?
原状回復の負担割合については、借主は「部屋を借りた後に生じた破損や損傷」、貸主は「経年劣化、通常損耗の部分」と明確に規定されました。
簡単に言うと、入居者は誤ってつけてしまった傷などの補修分のみを負担するのであって、経年劣化による損耗は責を負いません。
例えば、入居者が壁紙を破損してしまった場合は、退去時に張り替え費用を負担しなければいけませんが、日焼けや接着剤の劣化による剥がれといった経年劣化で補修する場合は、大家自身が負担します。
原状回復の負担単位の詳細については、国土交通省の示すガイドラインに詳しく記載されているので、確認しておくことをおすすめします。
ガイドラインには、床や壁、建具、設備など、それぞれの項目に対して、細かく例が載っています。
例えば、家具の設置による床の凹みは、入居者の過失ではないので大家の負担ですが、冷蔵庫下のサビ跡はサビを放置した入居者の責任として大家負担となる…など、具体例が満載なのできっと参考になるはずです。
まとめ
今回は2020年に施行される改正民法によって変わる敷金と原状回復義務について解説しました。
法改正により、敷金の定義や原状回復の負担割合が明確化されたので、今後は敷金の返還トラブルは減るのではないかと期待されます。
賃貸物件を探している方は、契約の前に敷金の取り扱いや原状回復ルール、原状回復負担のガイドラインを確認しておくと、きっと役に立ちますよ。
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